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南房総の暮らしをつくるデザイン&クラフト展 企画+会場デザイン

千葉県館山市 , 2017

 

 

 千葉県館山市で実施した展示会の会場構成。木工家と陶芸家とのコラボレーションし、会場デザインを行った。建物は地元大工が木材の加工を行う下小屋として利用されていた。木材のプレカットが主流になると大工の下小屋が不要となり、十数年前から空き家となっていた。

 建物は木造のトラス構造であり、産業革命以降の近代建築的な要素を木造に転用している。そのため在来工法よりも柱のスパンが長く木造でありながら開放的な空間、かつ濃密な空間を実現している。その中で会場デザインとしてはその建物の魅力を損なわぬように、展示台は抽象的な白い展示台とし、濃密な空間に対してのコントラストをとることで建物と展示とが直感的に分けて認識できるようなデザインとした。また見学順路を明確にするために同じく抽象的な白い小屋(南房総の暮らしのイメージハウス)を設計および施工を行った。

 

「使うことで建物を維持するきっかけをつかむ」

 建物は魅力的でありながら、長年空き家となっている。そのためこの建物の存在は近隣の住人も認識しておらず、ゆっくりと死を待つ状態となっていた。そこで本展は建物を開放することで、空き家として死にゆく建物にもう一度生きるためのきっかけをつかませる展示会となった。

 

「モノのリノベーション」

 柳宗悦らにより見出された日本の民芸という概念。民芸の技術はその土地とその土地の人的ネットワークの中で高められ、世界的な評価を得るまでになったが、その本質は自分たちの暮らしをつくる技術(art)ということである。民芸とは、その土地で簡単に手に入るものを試行錯誤を経て、その土地の生活に必要なものを、最小限の形で実現し、ある種の「美」を獲得したのが民芸であり、その技術である。本展では、民芸の概念に立脚し、南房総にある木や粘土を使用した食に関する道具を開発から始まり、展示会を開催するに至った。つまり南房総で簡単に手に入る材料をリノベーションし、新たな価値を与え、民芸のように自分たちの暮らしをつくることを少しずつはじめようという決意の展示会となった。

 

「生活道具の地産地消」

 地産地消というと、最初にイメージできるのは「食」である。つまり第一次産業によって生産される野菜や果物、食肉などを、産地周辺で消費しようというものである。しかしながら地産地消と言えば、なにも「食」に限る必要もない。自生している木や、普段気に留めることもない土でも生産のための材料となるし、形を変え、付加価値をつければ、地域内で消費する対象になるのである。本展では、箸やカトラリーレスト、食器といった生活をつくる道具に着目し、地元で手に入る材料をつかった道具を開発、展示することで、道具の地産地消のコンセプトを打ち出し、南房総らしい生活を考える契機となることを目指した。

 

「自分たちの南房総の暮らしをつくる」

 僕らは日本中どこででも、同じような高品質な食器を買うことができるし、同じような高品質な家に住むことができる。しかしそのような状況の中で、「その地域らしい暮らし」というと実現が難しいとも言えるし、自信をもって「その地域でしかできない暮らし」をしている者はかなり少数であると想像できるし、もしそのような暮らしを実現している者がいれば、僕らは強く羨ましく思うはずである。その場所や、その場所にある人的ネットワーク、空間、シゴトに自らのアイデンティティを見出し、「その地域でしかできない暮らし」を、僕らでも実現できるかもしれないと思い本展を企画した。

展示会HP