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道楽がまちを変える [地域開発 2014年4月号] 論文投稿 , 2014 , 岸田 近年、まちづくり活動が盛んに行われるようになったが、活動の成果が挙がらないケースも多く、まちづくりという活動は岐路に立たされているのではないか。本稿では、夏目漱石の道楽の概念を出発点として、まちづくりを一から問い直し、新たなまちづくりの方法論を模索した。 夏目は、人間の仕事を『道楽=自分のための仕事』と『職業=他人のための仕事』に分類し、自らの小説家としての仕事を、『道楽』であると主張している。小説家をはじめ、芸術家、科学者、哲学者は、道楽つまり自分のための仕事を実践していると主張している。仮に夏目が、他人のために、読者の要求通りに小説を書いていたならば、あのような輝く作品は生み出されなかったのだろう。 道楽と言うと、日本人にとっては悪いことのように聞こえる。単なる遊びというイメージがあるからだろうか。しかし夏目が主張した『道楽』とは、自分が心底やりたいこと、叶えたいことを目指した、準備と調査、研究、実践のプロセスを含んだ深い遊びである。本稿では、この道楽の概念をまちづくりに持ち込むことで、新たなまちづくりの考え方の基礎としようとした。道楽という考え方をもとに、近代労働論を乗り越え、次世代の消費社会を創造する。そして、まちづくり(さらには新たなに登場した仕事の形)という活動の現代的な位置付けを明確にし、自分たちが住むまちという空間において、自ら生産と消費を創造するライフスタイルを提示している。