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盛栄堂 千葉県南房総市 , 2018 千葉県南房総市に完成した住居、和菓子店の複合用途の建築。近年、日本の手仕事が再評価される中で、職人のなり手が減少することも問題となっている。手仕事の技術・文化の継続のためには、事業として経営的安定性の確保も同時に求められる。建築主は和菓子職人であり、和菓子文化の継続のため、近隣の学校などにも臨時講師として和菓子文化を伝えている。建築主の要望は 1.技術と和菓子文化の若い職人に伝えながら、大儲けはできないまでも着実に稼ぐことができる建築であること 2.視認性のある建築であること 3.住宅のプライバシーを確保しながらも、暮らしが滲み出るような建築であること 4.キッチンからは子供の様子を見ることができること 5.ピアノを習う子供のための居間であること 6.西日が気にならないような空間とすること 五角形の建築 以上の要望の全てに応えるためにこの建築は五角形の平面形状の形態とした。前面道路は館山と鴨川をつなぐ主要幹線道路であり、多くの車通りがあり、観光客の動線となる。そこで五角形とすることで幹線道路に対して建築の面を向けることにした。変則的な五角形には切妻屋根に乗せ、一般的な技術でシャープな外観が実現している。 壁面の角度の調整による客と住民の視線の調整 五角形の平面形状の特徴を生かし、壁面の角度を調整することで、客動線上の視線と住宅内部からの視線の交錯が起きないように調整している。また外壁角度の調整によりガラス面の反射率により住宅内部は見えないが、住宅内部からは遠くの山々を望むことができるようにしている。 五角形のリビング 五角形の建築の中に五角形のリビングを埋め込んだ。五角形とすることでキッチンからの視覚を可能な限りなくすことに加え、平行の壁をなくすことでフラッターエコーという音の多重反射を防ぎ小さな音楽ホールのような環境とした。 西日のバウンド 西日の角度を考慮し屋内の壁面位置を決定している。住宅に差し込む西日は屋内壁面にぶつけて、バウンドさせてから住宅中心部に誘導させている。これにより強い西日を柔らかな光に変換し、住宅内部の光環境を保っている。 以上のように、五角形の平面形状が全ての要望を実現する形態であることを検討の中でつきとめ、五角形の平面形状の効果を最大化している。